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大人の遊ぶ姿から、子どもは学ぶ。 お餅つきイベント@奥多摩・古民家FURUSATOで五感をとぎ澄ます1日を密着レポート!

「子どもたちには自然の中で生きた学びを得てほしいけれど、いい機会がないなあ。」
そんなお父さんお母さんの声をよく聞くようになり、それに応えるような“自然の中での子どもの遊び場”をつくる団体が増えてきました。
でも、ふと疑問に思ってしまうのです。
“どうやったら、自然の中で遊ぶことで学びを得ることができるのだろう?ただ自然で遊ぶだけでいいのだろうか?”
OSOTOは、五感を使った「Native Edutainment」という新しい教育を提供するため、様々なイベントや講座を実施し、大自然の中に学び場を作っている団体の1つです。そんなOSOTOが主催する、家族で参加できる「お餅つきイベント」があると聞き、行ってみることに!
学びの中でも、“五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を総動員する原体験からの学び”を大切にしているというので、イベント中どんなところでそのこだわりが感じられるのかに注目して、体験してきました!

散策からスタート!冬から春へ、季節の変わり目を“見て”感じる

ある2月の土曜日、JR青梅線の古里駅へ。
はじめましての家族4組が集まりました。一同まだ緊張気味な中、古民家へ移動する道のりを散策。

“東京最後の野生児”と呼ばれ、(一社)森の演出家協会代表理事として自然の素晴らしさを紹介するツッチーこと土屋一昭さんのガイドのもと、小道に咲いているお花や遠くの山を眺めながら歩きます。
この辺りの山奥にはクマがいるだとか、野生のキツネが歩いているだとか、さすが奥多摩だなあとワクワクしてしまうお話がたくさん。

かわいらしい梅の花も咲きはじめていました。

いつもとはちょっと違った視点で歩くことで、自然の移り変わりや、野生の動物たちの生活を垣間見ることができます。
ツッチーさんの話を聞いて、興味津々な目でまわりを見渡す大人たち。そんな親の目線を追って、子どもたちの純粋な目は草花や空へ向けられていました。

山の音、鳥の声を“聴く”

途中立ち止まって、ツッチーさんは言います。
「ツッチーはね、鳥さんとお話しできるんだよ。」
え〜ほんとに〜?という子どもたちの言葉に、さっそく口笛で鳥の鳴き声を真似するツッチーさん。

ツッチーさんが口笛を吹いたかと思うと、すぐに呼応して鳥たちの鳴き声が。本当にお話ししているみたいです。
「お、メジロがいるね〜」とうれしそうなツッチーさん。
都会にいると雑音にかき消されてしまうような小さな鳥の声や、春らしい風の吹く音に耳を傾けていると、小さい頃によく行っていた田舎での日々を思い出します。
ツッチーさんは口笛だけではなく、バードコールも使いこなします。そんなツッチーさんの手元をじーっと見つめる3歳の男の子。

どうして、この小さい木のおもちゃから、鳥さんの声みたいな音がなるんだろう。
そんな表情でバードホイッスルを手にとって、観察。鉄の部分をひねると、鳥さんみたいな音がでるんだ。
また1つ、新しいことを知りましたね。

ん〜おいしい!自然の湧き水を味わう

ゆっくりだけど、歩いていると喉が渇くなあ。そう思っていたら、近所の人たちが普段使っている湧き水スポットに到着。
ちょろちょろ、と流れている湧き水は、飲んでいると病気しないほど良いと言われているのだとか。
みんな順番に飲んでみます。

ひとくち飲んで、きらっと笑顔に。おいしかったかな。

この湧き水、塩素の味も鉄の匂いもしなくて、すっきりおいしい!この水でコーヒーを淹れたらさぞおいしいだろうなんて、想像してしまいました。
子どもは言語化こそできないかもしれませんが、豊かな湧き水の味は、経験として舌が覚えていくのではないかと思います。

いよいよメインのお餅つき。つきたてを触ってみると?

20分ほど歩き、「古民家FURUSATO」に到着しました。ここは、ツッチーさんが管理運営する古民家で、調理師免許を持つツッチーさん自ら食文化を伝えるイベントを開催したり、都心に暮らす方々が自然と触れ合い癒しをえる場として活用されています。

部屋のまん中には囲炉裏があり、古民家の雰囲気が残る心地いい空間。

みんな集まって自己紹介をした後、チームに分かれてさっそくお餅つきスタートです!まずはもち米をつぶすところから。

子どもたちの力では、なかなか粒がつぶれません。でも、一生懸命にやっている子どもたちを見て、大人は手出しせずそばで見守ります。
どうやったらうまく杵を持てるんだろう?どう力を加えたら、お米がつぶれるのだろう?
実際にやってみることで、うまくいかないことにぶつかって、それを乗り越えようと工夫をしていく子どもたち。

しばらくすると、大人もウズウズし始めたのか、「貸してごらん」と出番交代。

なんと、おじいちゃんも参戦です。

「あんた、無理しすぎちゃダメよ」と心配そうなおばあちゃんをよそに、「昔はよくやったもんだ」と張り切るおじいちゃん。かっこいいです。孫たちはみんな、見ていますよ。
さて、お餅がつけたら、粉をまぶして丸める作業です!
熱いうちに、手早く。

「ベトベトしてできない!」と困っていた子も、粉をつけるとくっつかないことを知り、順調に進めます。
どうしたらお餅同士がくっつかないように保存できるのか、昔からある工夫をひとつ、学びました。

「つきたてが一番おいしいんだよ」と、言ってつまみ食いするOSOTO代表の“ゆかんこ”。
大人たちが食べている姿を不思議そうに見つめる子どもたちでしたが、おいしそうな大人の笑顔をみると、安心して口に運びます。

だから大人が食べるもの、そして食べる姿は大切なのです。

お腹の空くいい香り!具だくさんな豚汁と、つきたてお餅をいただきます

食べきれるのかしら!と思うくらいたくさんお餅をついたら、ご飯の時間。ツッチーさんが用意してくれた、豚肉と野菜たっぷりの豚汁と一緒にいただきます。
朝からずっと、豚汁の香りがしていて子どもたちも大きな鍋をのぞいていました。やっと食べられます!

いや〜〜しみますね!ちょっとばかり運動しただけなのですが、アツアツの豚汁がお腹の中からエネルギーを回復してくれている感覚。
お餅も、つきたてならではのモチモチ感がたまらない。きな粉と磯部でいただきました。

いい顔です!

たらふく食べたら、ちょっとひと息…。
とはいきません。子どもたちはエネルギーチャージ完了で、部屋の中をかけまわりはじめました。
「じゃあ、みんなお外に遊びにいくよ〜!」
と、お散歩の時間に。
主催者の“ゆかんこ”と“ごっち”は自身も子育てをしているので、どんなタイミングで子どもたちが飽きるか、どうしたら楽しんでくれるかをわかっているのですね。

大人が本気で遊ぶから、子どもも本気になる

古民家FURUSATOの裏手には、雄大な多摩川が流れています。橋を渡って降りていくと、川はもうすぐそこ。

川のそばに着くやいなや、「水きりできる人〜!」と“ごっち”の一声。水切りは、平たい石を浅い角度で水面に投げ、連続ジャンプされる遊びです。
小さい頃、よくやりましたね。
大人も子どもも、いい石はないかな〜?とウロウロ。子どもたちは好きな石を見つけては投げる、見つけては投げるを繰り返して遊んでいます。

鬼ごっこを始めたりと、みんなパワフルにかけまわります!

やっぱり子どもは元気だな〜と思って振り返ると、石で遊びはじめる大人たちの様子が。

投げる!

投げる投げる!
向こう岸の崖の上に落ちている木を狙って、石を投げるみなさん。なかなか腕のいい投手も多く、かなり距離があるのにいい線をいきます。かなり真剣です。
こちらでは、精神統一のように石を積む…。

すごいです…!
そんな大人たちの真剣に遊ぶ姿を見てか、子どもは子どもで自分の興味のある遊びに夢中に。色々な石を触って、お気に入りの石を探している子もいました。
大人が遊ぶ姿から、子どもは遊び方を学ぶのですね。

東京の奥多摩に、ふるさとを

いつもはもっと都会な街で暮らしているみなさん。今日一日過ごした奥多摩のこの場所が、それぞれにとってもう1つのふるさとになってくれれば、とOSOTO代表の“ゆかんこ”は話します。
「古民家FURUSATOには、日本の原風景と言える昔懐かしいあたたかな風景が残っています。そんな古民家が、参加者の皆さまにとって第二のふるさととなり、そこで出会った家族や子ども達は、家族のように安心出来る場となって欲しいです。」

家族で記念にパシャり。イベント中、普段はあまり撮れない家族写真をスタッフが撮影し、後日お送りしています。ふるさとで一緒に遊んだ思い出が残るようにと、イベント実施のときに大切にしていることだそう。
どのご家族も、みんな思う存分遊んだからか、いい笑顔です。
最後に、スタッフも一緒にパシャり!

帰り際の大人たちの顔は、子どもが1日楽しんでくれた安心感と、自分たちも昔を思い出しながら遊べたリフレッシュ感にあふれていました。
自然の変化を感じられるガイドウォーク、みんなで頑張ったお餅つき大会、贅沢な豚汁とつきたておもちのお昼ご飯に、最後は奥多摩の渓谷で大人も子どもも夢中で遊んだ1日。
ふりかえってみると、餅つきも川遊びも、大人の真剣な姿が見られました。だからこそ子どもは、遊びながらもひとつひとつ学びを得ていったのではないでしょうか。大人も子どもも本気で楽しめる機会をつくることで、より子どもは真剣に遊び「自然の中での遊びを、学びに変えること」ができるようになるのだと感じました。
自然の中で昔からの文化や食に触れると、頭よりも先に体が理解して、学びが深まるような気がします。それはきっと、大人も子どもも同じなのではないでしょうか。

1日を通して「見る・聴く・味わう・香る・触る」の五感を使っていろいろな経験をした今回のお餅つきイベント。
これから、季節ごとにイベントが行われていく予定です。四季折々の魅力を感じながら、五感を使って遊ぶ1日を、あなたも過ごしてみませんか?

ライター:森野日菜子

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